相続税のはなし②~延納~

相続

相続が発生し財産を取得した場合、相続税がかかります。相続税は原則として納付期限内に現金の一括払いで納めるものですが、一定の要件を満たすことで、一定金額を分割して納付すること(延納)や、金銭の代わりに国債や不動産といった金銭以外の資産で支払うことも認められます(物納)

延納とは

相続税を期限までに金銭で一括納付することが出来ない場合、担保を提供することで納付が困難な金額を限度に分割できる制度をいいます。*延納期間中は利子税の納付が必要となります

どんな時に延納が認められるか

延納が認められる適用要件は以下のものになります

1.納付すべき相続税額が10万円以上

2.期限までに金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること 

延納を申請する際、納付する相続税の全額に対して延納できるわけではありません。

相続した現預金に、相続人がもともと持っていた現預金を足しても、どうしても払えない部分に対して、延納申請することが出来ます。

3.「延納申告書」及び「担保提供関係書類」を期限までに提出すること

4.延納税金額に相当する担保を提供すること*延納金額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合は担保を提供は不要です

    

担保として認められるもの
  • 国債、地方債
  • 社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む)、その他の有価証券で税務署長等が確実と認めるもの
  • 土地
  • 建物、登記又は登録されている船舶や自動車
  • 鉄道財団、道路交通事業財団、観光施設財団等
  • 税務署長等が確実と認める保証人の保証

上記の中から可能な限り処分が容易なもの、価格の変動が少ないものを選択します

担保として認められないもの
  • 法令上、担保権の設定や処分が禁止されているもの
  • 相続人の間で係争中のもの
  • 違法建築の建物や土地の違法利用の為、建物除去命令が出されているもの
  • 売却できる見込みのないもの 等

         

相続税の延納期間と延納にかかる利子税

延納できる期間や、延納期間中にかかる利子税は、財産に占める不動産や動産等の割合毎に法律上下記の表のとおりに定められています。

延納期間と利子税
国税庁HP:『相続税・贈与税の延納の手引き』より抜粋

延納申請の流れ

1.延納申請書の提出期限及び提出先

相続税の延納申請書、担保提供関係書類は相続税の申告、納付の期限と同じ「相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)から10カ月以内(例外有)」に被相続人が亡くなった時の住所を管轄する税務署(杉並区の場合、荻窪税務署又は杉並税務署 所在地でどちらかに分かれます)へ提出します。

2.提出する書類

延納申請時に提出する書類は延納申請書の他、『金銭納付を困難とする理由書』(説明資料を含む)等の申請書別紙及び担保提供関係書類があります。

*担保提供関係書類は担保とする財産の種類によって異なります。申請の際は提出漏れの無いよう注意が必要です

3.担保提供関係書類の提出期限の延長

延納申請書の提出期限までに書類の提出ができない場合には、提出期限までに『担保提供関係書類提出期限延長届出書』を提出することで提出期限を延長することが出来ます。期限の延長は最大3ヵ月です。(3ヵ月以内であれば何日間でも大丈夫です)

期限を延長しても書類の提出が間に合わない場合は更に3ヵ月再延長することもできます。再延長の届出は何回でもすることが出来ますが、全体で6カ月を超えて延長することはできません。

4.延納の審査

延納申請書が提出されると、税務署長はその申請内容を調査し、延納申請期限の翌日から3カ月以内に許可か却下かを判断します。*状況によっては最大6ヵ月まで延長する場合があります

相続税の支払いは、他の税金と比べて例外的に分割で納める延納や金銭以外の財産で納める物納などの納付も認められていますが、金銭での一括払いが原則です。

相続が発生した際に納税資金の準備で慌てないよう、前もって余裕のある時に相続税の試算をしてみたり、不動産をお持ちならば、その不動産の状況を把握し売却、運用、物納なども視野に入れつつ対策を取っておくことも必要ではないかと考えます。

例えば「延納」以外の納税方法として、不動産を所有している方なら、他に「物納」や「民間金融機関からの不動産担保融資」という方法が取れる場合があります。 

いずれも様々な要件があり、不動産毎の個別具体的な判断が必要になります。気になる方はぜひご相談ください。

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