共同担保目録のはなし~登記簿謄本のはなし②~

不動産/建築用語

賃貸住宅を借りる為に重要事項説明を受けるとき、土地や建物を買おうとして不動産登記簿謄本(現在は登記事項証明書と呼ばれます)見たとき、乙区の権利部の最後に共同担保目録の記載がある場合があります。(共同担保目録は謄本の交付申請時に請求申請が必要です)*共同担保目録ではなく、『信託目録』が続いている事もあります(共同担保目録と同様に謄本の交付申請時の請求申請が必要です)

この共同担保目録等はどういった時に作られるものでしょうか。

登記簿謄本についてと表題部、権利部について書いています。良かったらご覧ください↓

法務省HP「登記~不動産登記」より登記事項証明書の見本

共同担保目録とは

共同担保目録とは、抵当権を設定したときに、複数の不動産を担保に入れて住宅ローンを組んだり、融資を受けた際に作成される「担保になっている土地・建物リスト」のようなものを言います。

ここを見ることで、「権利部(乙区)」と同様、所有者の債務状況を知ることが出来ます。

そもそも共同担保とは何か

共同担保とはある抵当権(根抵当権)に対し複数の不動産が担保として設定されている状態の事をいいます。

例1:

マイホーム等を取得する際によく使われるのが住宅ローン。

住宅ローンを組む際に、土地、建物の両方を担保にするのが、最も一般的に行われる共同担保の例ではないかと思います。

例2:

例えば5,000万円の不動産を購入しようとして、自己資金を500万円用意し、残りの4,500万円は融資を受けるつもりでいたとします。

この時に、銀行から「この担保では3,000万円の融資しかできません」と言われた場合、1,500万円の差額が出ます。

すると、自己資金を増額して対応する、または別の不動産を担保として提供し、1,500万円の融資をしてもらう、のどちらかを選ぶことになります。

このように、担保にする不動産の価値が希望より低く査定され、希望の融資額に届かないというような場合、共同担保にし、資金の調達を行います。

注意点!

完済するまで抵当権の抹消が出来ない融資額の半分を返済したので、共同担保にしている不動産のうちの一つの抵当権を外す、というようなことは原則できません。(特殊な例ですが、出来る場合もあります)抵当権の抹消は完済してからまとめて抵当権抹消登記を行います

共同担保目録の見方

【参考】法務省HP「登記~不動産登記」より登記事項証明書の見本
共同担保目録の項目
  1. 記号及び番号…この共同担保目録につけられる固有の記号と番号
  2. 調整…その借り入れが行われた最初の受付日
  3. 番号…共同担保目録が設定されている番号。古い順に1から設定されています
  4. 担保の目的である権利の表示…他に共同で担保にしている不動産の地番や家屋番号
  5. 順位番号…他の担保権があるときに、登記をどこが先に行ったか、という順番(登記順位)この順番は、優先的に債務を回収できる順番と同じです

共同担保目録は複数の不動産を担保に入れて、抵当権を設定したときに作成されるものなので、当然、抵当権について書かれている「権利部【乙区】」にも目録名の記載があります。

【参考】法務省HP「登記~不動産登記」より登記事項証明書の見本

共同担保になっているもう片方、建物の謄本も見てみます。

【参考】法務省HP「登記~不動産登記」より登記事項証明書の見本

目録の申請方法

目録も含め登記事項証明書を取得する際は、最寄りの登記所(法務局、地方法務局、出張所、支局)で申請します。

共同担保目録が必要な場合は、の部分の必要事項にチェックを入れて申請します。*目録だけの取得はできません

【参考】法務局HP『各種証明書請求手続き』
共同担保目録の種類
  • 「現に効力を有するもの」…現在有効な分が記載されます
  • 「全部」…現在有効でないものも含めたすべての目録が記載されます*例:抹消された抵当権に係る共同担保目録など

*目録の番号がわかっている場合は、必要な目録を指定して申請することもできます

因みに…登記事項証明書は1通当たりいくらの値段です。謄本も抄本も目録を付けても付けなくても、1通ならば同じ値段です

但し、1通の枚数が50枚を超える場合は、以後50枚ごとに100円加算されます

他にも法務局の登記・供託オンライン申請システムから交付請求し、郵送又は窓口で受け取る方法があります。(それぞれ手数料が異なります)*オンライン申請システム利用には申請者情報の登録が必要になります

杉並区、中野区の法務局はこちら↓

こちらのサイトもご覧ください↓

証明印や公印の押してある証明書の発行はしていませんが、登記所が保有する登記情報をパソコンの画面で確認できる有料システムもあります*利用には申し込み手続きが必要です

登記情報提供サービスHPhttps://www1.touki.or.jp/gateway.html

タイトルとURLをコピーしました