権利書のはなし

不動産/建築用語

土地や建物といった不動産の『権利書』。良く聞く言葉ではないでしょうか。不動産を売却する際等に必要になってくるものです。

ところでこの権利書、具体的にどういったものなのでしょうか。

不動産の権利書とは

土地や建物の所有権を証明する書類のひとつ。登記済権利証登記済証などとも言います。以前は書面でしたが、2005年の不動産登記法改正以後は登記識別情報という12桁の符号(パスワード)が発行されています。

登記済証
写真:photoAC
登記申請書の裏にこのような印が押されています。受付年月日、受付番号が記載されています

所有権保存登記、所有権移転登記等、権利の登記をしたとき、登記手続きが完了すると登記申請書の写し(副本)に登記済印を押して登記名義人に返還していました。この写しを権利書、権利証等と呼ぶことがあります。

和紙で作られたものに法務局の『登記済』の印が押してあり、表紙が付けてあることがほとんどです。この表紙には登記済土地権利証や登記済証書等と書いてあります。*表紙は司法書士がそれぞれつけるので、事務所ごとに違っています

登記識別情報

アラビア数字とその他の符号の組み合わせからなる12桁の符号(パスワード)。

不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定められていて、登記名義人となった申請人にのみ通知されます。*オンライン化に伴う法改正の際に書面の登記済証は廃止され、符号(パスワード)が導入されました

2015年2月23日からは符号の他にQRコードが追加されています 「法務局HP:変更後の記載事項の見本

この権利証や登記識別情報は、土地を売却する他、新たに対象不動産へ抵当権を設定する際等に法務局へ提出する書類として必要になります。*実際の手続きは司法書士等に依頼するのが一般的です

紛失してしまったら…?

実は、登記済権利証も登記識別情報も、紛失してしまうと再発行はできません。

では、紛失した場合は売却も抵当権の設定も出来なくなってしまうのかいうと、そうではなく、代替措置があります。

本人確認情報の作成

*不動産会社を通じて売却をする場合、この形を取ることがほとんど

本人確認情報とは

「この人は権利証(登記識別情報)を紛失していますけど、不動産の所有者で間違いないですよ」というお墨付き的書類の事。

司法書士等の資格者代理人に作成してもらい、権利証の代わりに法務局へ提出します。*資格者代理人は司法書士の他弁護士や土地家屋調査士等が該当します

事前通知

所有権移転や抵当権設定などの登記申請をしたときに、登記済証や登記識別情報等で登記名義人の確認が出来ない場合、登記所から登記名義人に宛てて本人指定郵便通知書が送られます。

通知書には登記申請があったこと、申請が間違いなければ、申出書に署名と実印での捺印の上返送すること、その期限等が書かれています。

申出書は通知に同封されているか、通知の下部分が申出書になっている場合が多いようです。又、返送期限は2週間以内です

  • 申出書が法務局に返送されると所有権移転登記が行われます。一方、返送されないと登記は却下されてしまいます
  • 登記に時間がかかるので、実際使われることの少ない方法です
因みに…

相続による所有権移転登記では、登記済証(登記識別情報)は必要書類ではありません。その為、基本的には無いままでも所有権移転登記が行えます。*他の必要書類で入手が困難なものがある場合等、必要になる事もあります

悪用への予防措置

紛失してしまった、又は盗まれてしまった等という際、悪用予防の為に下記の方法があります

不正登記防止申出制度:登記済証(登記識別情報)等を盗まれてしまい、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合、法務局に申し出ることによって、申出から3ヵ月間不正な登記を防止する制度。

この申出がある場合、登記官は登記申請者に出頭を求め本人確認をします。また制度の申出人に対して登記申請があったことの通知が行われます。

注意点

  • 申出が必要となった事柄に対応する措置を取っていないと受理されない…盗難の場合は警察への被害届、必要ならば実印登録を廃止する手続きなど
  • 有効期限が申出から3ヵ月。延長が出来ないので、3カ月たっても不正な登記申請の疑いがあるときは、再度申出が必要

・登記識別情報の失効申出制度:登記識別情報を紛失した、誰かに盗み見られたという場合には、不正に用いられることの無いよう、登記官に対し失効の申出をすることが出来ます。*失効させた登記識別情報は、失効の撤回、再発行などはできません。紛失した時と同様の対応を取ることになります

登記した後は、売却か抵当権を設定する際等、限られた場面でしか使うことのない登記済証(登記識別情報)。万一紛失したとしても、代替措置も用意されています。とはいえ、登記名義人を確認する重要な書類。しっかりと保存しておくことが大切です。また、万一を考えて実印等とは別々に保管することもお奨めします。

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