地鎮祭のはなし

不動産/建築用語

街を歩いているとき、更地に下の写真のような設えがされているのをご覧になったことはありませんか。

これは地鎮祭の準備です。これからこの場所に家を建てる為、工事着手の儀式が行われます。

地鎮祭は個人の住宅だけでなく、大きな構造物の建築やトンネルやダム等の工事の前にも行われます。

この地鎮祭とはどういった儀式で、何のために行うものでしょうか。

地鎮祭とは何か

地鎮祭とは建築工事を始めるときに国土の守護神である大地主大伸(おおとこぬしのかみ)その地域を守る神様である産土神(うぶすなのかみ 氏神様とも言われます等の神様に土地を利用することの許可を得、工事の安全と、家の繁栄を願う儀式のことを言います。

*じちんさい、とこしずめのまつり等と読みます(一般的には「じちんさい」と呼ばれます)。地祭り(じまつり)と呼ばれることもあります

大幸ホームHP :blog『(仮称)サットンプレイス・W新築工事』より

地鎮祭の手順

一般的に、敷地の中に四隅に青竹を立てた祭場を作り、そこで行います。

参加者は、施主様の他、設計者、施工会社の担当者そして神事を行う神主さんです。

地鎮祭の一般的な流れ
  • 手水(てみず/ちょうず)神事の会場に入る前に手水桶から掬った水で手を洗い、心身を清めます。この後神主さんより地鎮祭の開会が宣言されます
  • 修祓(しゅばつ)祭に先立ち、参列者、お供え物等を祓い清める儀式
大幸ホームHP :blog『(仮称)SP・S地鎮祭』より
  • 降神(こうしん)祭壇に立てた神籬にその土地の神・地域の氏神を迎える儀式。神職が「オーッ」という声(警蹕)を発し、神様の降臨を告げます
  • 献饌(けんせん)…神様にお供え物を食べて頂く儀式。酒と水の器の蓋を取り、神様に供物を捧げます。
  • 祝詞奏上(のりとそうじょう)…その土地に建物を建てることを神様に告げ、以後の工事の安全を祈ります。
  • 四方祓い…四方の四隅をお祓いし、清めます。
大幸ホームHP: blog 『(仮称)SP・M地鎮祭』より
  • 地鎮…砂で作られた円錐形の山に草をたて、刈初、穿初、鍬入れ(草を刈り、地面を掘る所作)等を行い、神様に工事の開始を奉告します。*施主様、設計者、施工会社の担当者がそれぞれ行います

  • 玉串奉奠(たまぐしほうてん)…玉串を神前に捧げ拝礼します。
  • 撤饌(てっせん)…酒と水の器の蓋を閉じ、お供物を下げます。
  • 昇神…神籬に降りていた神様をお送りする儀式。神主さんが昇神の詞をあげ、警蹕を行います。
  • 神職退下(しんしょくたいげ)…神主さんが退出し、これで儀式が終了です。

直会(なおらい)…儀式の終了後に神前に供えたお酒で乾杯し、お供え物の御下がりを食します。神様への供物を飲食するこで、神様との結びつきを強くし、その力を分けてもらい、加護してもらうという意味があります。*直会はお店などで宴会にする場合も、乾杯だけしてお供え物は配って持ち帰ってもらう場合等様々です

地鎮祭が終わるといよいよ基礎工事が始まります。

地鎮祭の費用

地鎮祭を行う場合、費用は条件などによって様々ですが、だいたい5万円前後になる事が多いようです。*地鎮祭をお願いするところやお供え物の用意の有無、その他諸条件で費用は変わります

祭壇などの準備は施工会社が行ってくれることも多く、その場合は準備費は新築工事の費用に含まれることになります。**雨天が予想される場合にはテントの費用などもあります

地鎮祭のはじまり

地鎮祭の歴史は古く、文献上最古の記録は日本書紀にあります。持統天皇5(691)年10月の記述に藤原京造営の際の『鎮める祭り』として紹介されています。

儀式ではお金や金、銀、ガラス玉、水晶等当時の貴重品、その他には麦や稲、大豆などの五穀が『鎮物(しずめもの)』として土地の中央または四隅に埋められました。こうした鎮物は他の古代都城の発掘調査でいくつも見つかっています。*時代によって鎮物の内容はいろいろと異なるようです

実際に地鎮祭が始まったのは、藤原京よりもっと前の時代のようです。

3~6世紀の古墳時代の古墳や建物跡からも祭祀の後があったり、鏡や杯などの鎮物が出土していることから、古墳時代の中期には地鎮祭が行われていたと考えられています。

因みに…

現在でも鎮物はあります。地鎮祭終了後に工事関係者の方に箱が渡され、基礎工事の際に建物の中央にあたる部分の地面に埋めてもらいます。箱の中には『人型、盾、矛、小刀、長刀子、鏡、水玉』の七つが入っています。

鎮物アップ。
大幸ホーム㈱建築部の新築工事の際の資料写真

中央にあるのが鎮物です。
大幸ホーム㈱建築部の新築工事の際の資料写真

最近では、事情があったり、考え方が変わってきたこと等から、「地鎮祭をやらない」という方もいらっしゃるそうです。

もちろん、必ずやらなければいけないものではありませんが、2000年近く前から繁栄や平安を願い行われてきた儀式。

工事の安全祈願でもあり、施主様、設計者、施工業者が一度に集まる貴重な機会でもあります。無理に行わなくても良いとは思いますが、出来るならば行っても良いのではないでしょうか。

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