重要事項説明のはなし(後編)

不動産/建築用語

売買契約の重要事項説明の内容の後編です。後編では、取引条件に関する事項、その他の事項について確認したいと思います。* 前編同様に、国土交通省のHPで見ることのできる重要事項説明の様式例の内容に沿って見ていきます

前編はこちらです。よろしければご覧ください↓

Ⅱ.取引条件に関する事項

国土交通省HP『重要事項説明の様式例』 
*画像をクリックすると拡大します
国土交通省HP『重要事項説明の様式例』 
*画像をクリックすると拡大します

1.代金及び代金以外に必要な金銭…売買代金とそれ以外に売買をする過程で売主と買主の間で必要となる諸費用が書かれています。例:手付金、固定資産税、都市計画税の清算金 等

固定資産税、都市計画税は毎年1月1日時点での所有者に対して課税されます。年の途中で売却した場合、売主と買主がそれぞれ所有していた期間分を負担しあうのが慣例です。 一般的に買主が負担する分は売買契約時に清算金として支払います。

固定資産税について書いています。よろしければご覧ください→『税金のはなし~固定資産税~                     

2.契約の解除についての事項…解除できるケース、解除期限の有無又はその期限はいつまでか等が書かれています。

3.損害賠償の予定又は違約金に関する事項…債務不履行等で契約解除する場合の損害賠償額や違約金について予め決まっている内容が書かれています。

4.手付金などの保全措置の内容…売主が不動産会社の場合、手付金が一定の金額や割合を超える場合は第三者に保管させる等の対応をします(保全措置)。その内容について書かれています。

第6面は契約条件の中で一番大切な部分です。

1.⇒売買代金の他に売主と買主の間で必要な諸費用等はあるか、ある時はその名称や金額、内容等を確認。

2.⇒どのような場合に契約解除が可能なのか、手続きの方法、期限について等を確認

例:住宅ローンなどの融資が受けられないときに、契約を解除することが出来る特約(ローン特約)が入っているか、またその内容について等

5.支払金又は預り金の保全措置の内容…不動産会社が買主から一定金額以上のお金を預かる場合の保全措置とその内容について書かれています。

6.金銭の賃借のあっせん…不動産会社が買主の為にローン等のあっせんを行う場合は、融資先、金利や返済方法などについて書かれています。また、融資が受けられなかった際の対応についても説明があります。

7.担保責任の履行に関する措置の概要…万一、対象不動産に契約の内容に適合しない欠陥(例えば、住めないレベルの欠陥等)があった場合、原則として売主はその保証をします。売主の倒産などにより対応出来ないような時でも、保険等への加入により、対応できるように準備をしているか、しているならその内容について書かれています。*準備をしているか(=講ずる)していないか(=講じない)であって、保証があるかどうかの記載ではないので、注意しましょう

8.割賦販売に係る事項…ここで言う割賦は、売買金額を2回以上、1年以上の期間にわたって分割して払うことを言います。*住宅ローンは融資を受けて売主に一括で払っているので、割賦販売とは異なります。実務では割賦販売の例はあまりないようです

6.⇒不動産会社からのローンのあっせんを受ける場合、申込み予定の金融機関の名前、予定金額等が具体的に記載されているかを確認

7.⇒特に新築住宅の売買では、売主である事業者に対し、『保証するための準備』を行うことを法律で義務付けています。(瑕疵担保履行法

どのような準備をしているか、その内容を確認

例:
  • 瑕疵担保保証金の預け入れ
  • 保険に加入する 等

*既存住宅の場合には、(財)住宅保証機構の既存住宅保証制度などの制度があります

Ⅲ.その他の事項

国土交通省HP『重要事項説明の様式例』 
*画像をクリックすると拡大します
国土交通省HP『重要事項説明の様式例』 
*画像をクリックすると拡大します

1.供託所等に関する説明…宅地建物取引業者は、営業保証金を供託することが義務付けられています。営業保証金を預けてある供託所とその所在地について、また、保証協会に加入しそこから預けている場合、その保証協会の名称と所在地等が書かれています。

第9面…記載要領。国土交通省のHPで見ることのできる重要事項説明様式の第9面には、重要事項説明書に記載されている言葉の説明や、補足事項などが書かれています。

重要事項説明書は不動産用語や法律用語も多く、一見難しく、とっつきにくい印象のある書類ですが、契約する不動産の内容や、契約条件などが書かれているとても重要な書類です。

前もって『重要事項の説明とは何を説明するのか』『重要事項説明書にはどういった内容がどのような言葉で書かれているのか』を知っておくことで、説明時に内容が理解しやすく、また確認しなければならない点をつかみやすくなると思います。

また、不明点、疑問点がある場合はそのままにせず、担当者に質問することも大切です。内容を充分に理解し、納得したうえで購入の判断をすることが、トラブルを避ける第1歩であり、最大のポイントではないでしょうか。

区分所有の重要事項説明について書いています↓

賃貸契約の重要事項説明について書いています↓

下記のサイトもご覧ください↓

タイトルとURLをコピーしました