重要事項説明のはなし②~区分所有編~

不動産/建築用語

分譲マンションをはじめとする区分所有建物の権利関係や維持管理については『建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)』において定められています。その為、区分所有建物の売買時の重要事項説明書では土地・一戸建て等の場合と同じ書面ではなく、区分所有物件独自の項目が設けられた書面を使います。

どのような点が違うのか、注意点などを考えてみたいと思います。

*国土交通省のHPで見ることのできる『重要事項説明の様式例』に従って見ていきます

区分所有建物の重要事項説明書

第1面
国土交通省HP『重要事項説明の様式例』より
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説明をする宅地建物取引士…重要事項の説明は宅地建物取引士のみ行えます。『誰が説明したのか』が書かれています。

建物…区分所有建物の名称、所在、専有部分の面積(壁芯面積・登記簿面積)等が書かれています。

敷地…敷地に関する権利、登記面積や実測面積、共有持分や売主について等が書かれています。

左に挙げた他に、家屋番号や建物の種類、構造等といった専有部分の建物の表示や、延べ床面積等が記載されることもあります。

倉庫等の共用の付属建物がある場合、ここに記載がある場合があります。

第二面~第三面、第四面の上部は、土地・一戸建ての重要事項説明書と同じ内容になるので、省略します。

6.一棟の建物又はその敷地に関する権利及びこれらの管理・使用に関する事項
国土交通省HP『重要事項説明の様式例』より
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国土交通省HP『重要事項説明の様式例』より
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(1)敷地に関する権利の種類及び内容…敷地の面積や権利の種類等について書かれています。

(2)共用部分に関する規約等の定め…区分所有者全員で使用する共用部分についての決まりがあるか、その内容がどこ(管理規約や使用細則等)に記載されているのか等が書かれています。

(3)専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め…専有部分でも、管理規約等による利用の制限がある場合はここに書かれます。例:事務所使用不可、ペットの飼育禁止等

(4)専用使用権に関する規約等の定め…特定の使用者のみが敷地や建物、付属設備等の一部分を使用できる権利を専用使用権と言います。そのような場所の有無、使用料等について書かれています。

例:マンションの専用庭やバルコニー・ルーフバルコニー、駐車場等

*専用使用権を持っていても、その部分を自由に使えるわけではありません。例えば駐車場には車以外置かない、バルコニーに物置を設置しない等、マンションごとに様々な規則があり、管理規約や使用細則等で決められています

(1)⇒ 建物の敷地をしっかり確認するとともに、敷地全体に所有権があるかどうかを確認

*借地等所有権以外の部分がある場合は、地代などの負担が発生する場合があります。負担する金額や存続期間がいつまでなのかを確認

(2)(3)(4)⇒分譲マンションでは、居住者が守るルールは管理規約、使用細則等で定められています。共用部分や駐車場(ある場合)の使用方法、ペットの飼育の可否等について確認

(5)所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め…マンションの住人(又は所有者)の中に、管理規約において定められている、払わなければならない費用(管理費・修繕積立金・駐輪場代等)が安くなる又は免除されている人がいる場合ここに書かれます。

(5)例:新築分譲マンションで買い手の決まっていない部屋がある場合で、特約などで免除されている分譲業者

過去の判例等から判断すると、売却までの間、管理費や修繕積立金を負担するのは原則として分譲業者です。但し、管理規約の特約で分譲会社の負担が免除されることがありますそのような場合はこちらに記載されます

(6)計画修繕積立金等に関する事項(7)通常の管理費用の額…修繕積立金・管理費の金額、積み立てられている金額、滞納金がある場合はいくらあるのか等が書かれます。

修繕積立金や管理費は必ず必要になるお金なので、金額を確認

滞納金の有無、もしあるなら支払いはどうなっているのかを必確認

中古マンションの場合、積立金の残高を確認

*残高が少ないと必要な修繕が行えない可能性もあります

(8)管理の委託先…管理の委託を受けている会社の名称・所在地が書かれています。

分譲マンションの場合、管理会社へ委託するのが一般的です。この書式では記載する部分はありませんが、通常は管理の形態全部委託一部委託)等もここに書かれます

管理の形態や実施状況などを確認

*快適な生活を送るためにも管理状況はとても重要です。内容をよく確認しましょう。また内見時などに気になる点があった時は、しっかりと確認するのも大切です

国土交通省HP『重要事項説明の様式例』より
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(9)建物の維持修繕の実施状況の記録…対象のマンションで、大規模修繕等が実施された記録が残っている場合は、ここに書かれます。

(10)その他…例:マンション総会で決定している、又は実施予定が判明している大規模修繕や管理費等の値上げ等。

(9)⇒専有部分の維持修繕の記録が残っている場合もこちらに記載されますが、修繕やリフォームの有無を直接確認することも大切です

(10)⇒今後の大規模修繕や管理費等の値上げの予定など、トラブルを回避するためにも、しっかり確認しておきましょう

Ⅰ-7.建物状況調査の結果の概要』以降と、『Ⅱ.取引条件に関する事項』、『Ⅲ.その他の事項』の内容は 、土地・一戸建ての重要事項説明書と同じ内容になる為、省略します。

土地・一戸建ての重要事項説明書についてこちらで説明しています。よろしければご覧ください↓

区分所有建物は、区分所有者の所有権の対象となる『専有部分』とエントランスや廊下、階段等、入居者全員で使うような『共用部分』に分かれるなど、他の不動産と比べて権利関係が複雑になります。

どのような権利関係があるのか、建物の利用、管理、修繕などについてどのようなルールが定められているのか等を確認することが大切になります。

賃貸契約の重要事項説明について書いています↓

下記のサイトもご覧ください↓

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