借地のはなし(中編)

不動産/建築用語

借地のはなし(中編)です。
前編では、借地とは、そして借地権とは何かと、借地権の契約形態の3種類のうちの2つ(旧法借地権・新法普通借地権)についてお話ししました。
中編では、最後の一つ『定期借地権』についてお話ししたいと思います。

『借地のはなし(前編)』はこちらから↓

定期借地権

借地借家法で定められている借地権のうちの一つ。借地権の契約期間(存続期間)が終了した際に必ず契約が終了し、借地人は地主に土地を返却することになります。定期借地権には、一般定期借地権事業用定期借地権建物譲渡特約付借地権の3種類があります。

1.一般定期借地権

借地期間が50年以上の契約で、以下の内容を特約で定め、公正証書等の書面によって契約したものを一般定期借地権と言います。

特徴
  • 契約更新をしない
  • 再建築した場合でも契約期間の延長をしない、
  • 借地人は建物の買取り請求を地主に行うことが出来ない

*一般定期借地権は利用目的の制限はありません その為事業用でも住居用でも、建物の利用目的に左右されずに利用することが出来ます

一般定期借地権は、書面での契約が必要です。通常の借地権は口頭でも契約が成立しますが、こちらは書面での契約でないと無効になります。*電子契約も可

2.事業用定期借地権

事業専用の建物を所有する目的で設定する借地権。
*事業用建物に限られるので、居住用の建物に対してはこの契約を結ぶことが出来ません
契約期間は10~50年未満で設定し、必ず公正証書での契約を行います。
契約期間が10年以上30年未満の場合と、30年以上50年未満の場合で少し内容が異なります

契約期間が10年以上30年未満の場合

事業専用の建物の所有を目的として土地を借りていること 
公正証書によって契約されていること

上記の要件を満たしている場合、その契約は特約を定めなくても定期借地権の要件が自動的に適用されます借地借家法第23条2項)

契約期間が30年以上50未満の場合

定期借地権の効果を得るためには、契約の更新や建物の築造による契約期間の延長が無いこと、建物買取り請求権が無いことを特約として具体的に明記することが必要です

3.建物譲渡特約付借地権

後々、借地の上に立っている建物を地主が買取ることを特約で定めている定期借地権。
契約期間は30年以上で設定します。
借地契約の締結後30年以上経ってから、地主が借地人の建てた建物を買取ることで、借地契約が終了し、借地権が消滅します。

契約終了後、借地人がそのまま建物を利用したい場合は、地主と新たに建物の賃貸借契約を結ぶことで住み続けることも出来ます。

将来の建物譲渡に関して、地主は所有権移転の仮登記等が必要です。

建物の維持管理状態が良くない等の理由で、地主が建物を買取らなかったらどうなるでしょう。
この場合、借地権は消滅せずにそのまま継続することになります。

一般定期借地権や事業用定期借地権(契約期間を30年以上で設定)と併せて使うことで、建物を買取らなかった場合でも、もう一つの定期借地契約の期間が満了すると借地契約も終了させることが出来ます。

上記2つの定期借地権と異なり、書面又は公正証書で行うといった決まりはないので、口頭でも契約は成立します。
*とはいえ、建物の譲渡が行われるのは最短でも30年後。後々のトラブルを避けるためにも書面を取り交わす方が望ましいとされています

定期借地権の特徴まとめ
国土交通省HP『定期借地権の解説』より

借地権と似ている契約

借地権と似ている契約形態として、『使用貸借』があります。

使用貸借とは何か

無償でモノを貸し借りをすることを『使用貸借』といいます。土地の使用貸借は有償である賃貸借とは異なり、借地借家法の適用を受けません。
代わりに使用貸借について書かれている民法第593条~第600条が適用されます。

借地借家法の適用外なので借地権ではありません。
使用貸借の場合、原則として地主はいつでも借主に対して契約を解除し、土地の返却を求めることが出来ます。
*但し、期間を定めている場合は、その期間満了をもって返却の要求をすることになります

使用貸借は実際には経営者の所有する土地を会社が借り受けたり、親子間で行われることが大多数です。また契約書などを取り交わさず口約束で行われることも多くあります。


中編はここまでです。
後編では、借地の売却や、起こり得る主なトラブル等についてお話しします。

借地のはなし(後編)はこちらからどうぞ↓

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