相続税や所得税、贈与税等の国税は原則として金銭での一括納付が原則です。但し相続税に限り、一定の要件を満たすことで分割払いが認められたり(延納)、金銭以外の相続財産での納付が認められることもあります。相続税を金銭以外で納めることを物納といいます。
物納のしくみ
相続税を納付する際、期限までに金銭での一括納付が難しく、延納したとしても金銭での支払いがどうしても無理、という場合、一定の要件を満たすことで物納が認められます。
物納できる金額は、相続税全額ではなく、金銭で支払うことが出来る金額は全部支払って、どうしても支払えない金額分になります
物納申請する財産は自分で選ぶことはできず、相続した財産のうち種類とその優先順位は下記のように決まっています↓
物納の手続きの流れ
相続税を計算した結果、金銭での納付ができず“物納しよう”となった場合、物納で納める相続税額を計算し、納める財産を選びます。
・提出書類
物納申請時に提出する書類には以下のものがあります
- 物納申請書
- 金銭納付を困難とする理由書(説明資料を含む)
- 物納申請をする財産ごとの書類(物納手続関係書類) 等
期限までに書類が準備できない場合は、『物納手続関係書類提出期限延長届出書』を提出することで、提出期限を延長することが出来ます。*延長するとその期間は利子税がかかります。
*1回の申請で最大3ヵ月延長できます。申請回数の制限はありませんが、合計で1年を超える延長はできません。
物納許可になったら→『相続税物納許可通知書』が届きます。通知書に従って納付手続きを行います。物納は財産の引き渡し、所有権移転登記など、それぞれの財産ごとの方法で、正式に所有権が国に移転した時に納付完了となります。
許可された財産の価額が物納する分の相続税額を超えた場合、超えた分は金銭で還付されます。
*手続きの期限は、物納許可のあった日の翌日から6日以内です。期限までに手続きが終了しない場合は利子税がかかります
却下になったら→『相続税物納却下通知書』が届きます。却下された財産や理由などを確認し、延納申請へ変更するか、他の財産を選定し直して再申請します。*物納申請が却下になったことによる再申請は却下された財産ごとに1回まで行うことができます
通常の相続税の申告でも、被相続人が亡くなってから相続税の申告、納付を終えるまではバタバタと大変な日々を送ることになりますが、物納申請をするとなると、物納財産の選定や書類の作成などで輪をかけて大変になります。また、申請しても必ず許可が下りるわけではなく、整備するなどの条件が付いたり、却下になる場合もあります。
急に起きるのが相続です。その時に慌ててしまうよりも、前々からしっかりと相続対策をしていくことが大切だと私どもは考えます。特に東京都内の不動産は、実勢価格と相続評価額の差が大きくなりがちということもあり、相続時のトラブルを防ぐためにも、しっかりと今の状況を把握し、どのように相続税を払うのか前もって準備しておくと良いのではないでしょうか。
弊社では市場の動向のアドバイスや、簡易的な実勢価格の評価などのご相談も承っています。ご自身が所有している不動産の大体の実勢価格も把握しておくためにも一度お気軽にお問い合わせください。
下記のサイトもご覧ください↓
- 国税庁 物納の手引き:https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/pdf/3001tebiki03.pdf
- 国税庁 物納の手引き(手続き編):https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/pdf/2101tebiki02.pdf
- 国税庁HPタックスアンサー 相続税の物納:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4214.htm