ハンコのはなし②~不動産手続きとハンコ~

不動産/建築関連用語
不動産/建築関連用語

様々な種類、用途のあるハンコ。

不動産の手続きでは以下のように用いられます。

契約とハンコ

売買契約

一般的に不動産の売買契約では署名捺印をする際、売主、買主両者とも実印で行うことを不動産業者より求められます。(一部例外有)

理由として下記のものがあげられます。

  1. 取引の安全性を高める…売主が『なりすましではなく、本当に不動産の所有者である』と確認する信頼性の高い方法が、『実印で押印し、印鑑証明書を添して照合すること』とされている為。*実際の契約では、写真付きの身分証明書等で確認を行い更に安全性を高めます
  2. 所有権移転登記の際に照合する…売買契約の決済・引き渡しの際に司法書士が法務局で所有権移転登記を行います。登記の際には売主が所有者本人であることを確認するために、売主の実印と印鑑証明書の照合が必要です。売買契約書に実印が押してあることで、法務局は本人の真正な意思表示と認めやすくなります。
  3. 買主が住宅ローンの申込みをする…住宅ローンの申込みには実印と印鑑証明書、売買契約書のコピーが必要です。この時に売買契約書に押されている印が実印であると、ローンの申し込みをしている人物と不動産を購入した人物が同じ人であるとの確認がしやすくなります。*この対応は銀行によって様々。売買契約書の印が実印でなくともローンの申込には差し障りが無い場合もあるそうです

賃貸借契約

お部屋の賃貸借契約の場合、借主は認印で押印します。通常、賃貸借契約を結ぶ際には借主は仲介する不動産業者の前で契約書に署名捺印をする為、『本人が契約に合意している』と考えられるからです。

但し、連帯保証人様は賃貸借契約の場合、その場にいないことが多く、本人の意思の確認も兼ねて実印での押印と印鑑証明書の添付をお願いするのが一般的です。*弊社の賃貸仲介部署でも同様の対応をしています

契約書のハンコ
契印(ちぎりいん)

契約書など、文書が複数ページある場合、各ページの境目に押す印を契印と言います。

文書が袋とじになっていて背表紙がつけられている場合は、表紙と背表紙の境目に押します。

割印(わりいん)

2枚組になっている契約書や請求書の原本と控えなど、複数あるそれぞれの文書が関連するものであることを示すために各文書に跨って押す印を割印と言います。*改竄防止効果を目的としています

訂正印(ていせいいん)

文書に記載した字句を書き直したり、追加、削除したとき等に押す印を訂正印と言います。訂正印はその文書の署名捺印欄等に押した印で行います。

訂正の方法は主に下記の3種類の方法を取ります。

  1. 訂正したい箇所に二重線を引いて、線にかかるように印を押す
  2. 訂正したい箇所に二重線を引いて、訂正箇所の近くに印を押す
  3. 間違いがあった時に訂正印として利用する為、文書の余白部分にあらかじめ押しておく印を捨印と言います。*捨印を押す場所は書類上部の空欄部分が一般的です。文書内に捨印用の捺印欄があればそちらに押します

*社内の経費伝票等は小さな訂正用の印(豆印)で行うこともありますが、原則はその文書に押した印と同じ印で訂正します。契約書等重要書類の訂正には豆印は使われません。

ハンコの押し方

・個人の印鑑
  • ハンコは基本的に、文字と重ならないように押します。特に実印で押印を行い、印鑑証明書と照合する際は名前や他の文字と重ならないように注意が必要です。
  • 実印以外で印鑑証明書との照合が無い場合は、署名のすぐ横に押します。中には偽造・複製防止の用心のために、名前や他の文字と少し重なるように押す方もいらっしゃいます。どちらでも大丈夫です。
  • 署名欄の横に㊞マークがある場合はその上に押します。㊞マークからズレてしまっても、問題はありません

・法人の印鑑

法人書類も、実印で押印し、印鑑証明書を添付する場合は他の文字となるべく重ならないように押します。

印鑑証明書との照合が無い場合には、一般的に名前や社名にかかるように押します。

ハンコ屋さんで作ってもらうこともでき、100円ショップ等でも売られているハンコ。

手に入れるのはそれほど難しいものではありませんし、ハンコと朱肉さえあれば押すことも簡単です。そんなハンコですが、法律では文書に押されていれば、『その文書が偽りなく、正しく成立したとみなす』と規定しています。(民事訴訟法第288条)特に実印が押してあるような場合には法律上でも、実務上でも特別に扱われます。

各ハンコの役割を知り、正しく、安全に使いたいですね。

弊社は5月2日(日)より5月5日(水)まで休業致します。

5月6日木曜日10時より営業いたしますので、宜しくお願い申し上げます。

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