他人の建物内等に侵入して金品などを盗む犯罪を『侵入窃盗』と言います。侵入窃盗のなかでも留守宅に侵入するのが『空き巣』です。
空き巣を防ぐための対策は様々にありますが、手軽だけれど有効な対策の一つとして挙げられるのが補助錠です。
補助錠とは
名前の通り、メインの鍵(主錠)の他に、防犯性を高める目的で補助的に取り付けるもう一つの鍵のことを言います。
鍵が2つついていることで、解錠に時間がかかり空き巣に入られにくくなる効果が期待できるほか、高い位置に取り付けて手が届かないようにすることで、小さなお子さんやペットが外へ飛びだすのを防ぐ効果もあります。
補助錠の有効性
補助錠には、実際どれだけの効果があるでしょうか。
警視庁の資料によると、侵入に手間取ったため、侵入を諦める時間について、2分と答えた元泥棒が約17%、2分~5分の返答が約51%となっています。
このデータから、『侵入に5分以上かかるようであれば諦める』と返答した元泥棒が、回答者のうち7割近くになることがわかります。
当然ながらドアや窓に鍵が2つ設置されている場合、侵入する為には2つの鍵を解錠しなければなりません。その分時間がかかるので、空き巣が侵入を諦める可能性が高くなります。
また、補助錠が設置されているのが外から見えることで、防犯意識の高さをアピールすることが出来ます。
*鍵の種類によってはこじ開けられることがあります
玄関の補助錠
補助錠には鍵穴にキーを差し込んで施錠・解錠するタイプの他、暗証番号やリモコンで操作する鍵穴のないタイプ等、様々な形状があります。
補助錠の種類
外付けタイプ…扉の外側に取り付けるタイプの鍵。外側から見えることで防犯対策を行っていることがはっきりわかるという特徴があります。
*鍵の形状によっては『今、留守中である』ということがすぐわかってしまうものもあります。鍵の種類には注意が必要です
内付けタイプ…在宅時の防犯対策に有効です。外から鍵穴が見えない為、どこに鍵があるかわからずピッキングに強い特徴があります。*インサイドロックとも呼ばれます
但し、外側から鍵をかけることが出来ないタイプもあり、その場合、外出時の防犯は別途対策を行う必要があります。
面付けタイプ…ドアの扉面に穴を開けネジで固定するタイプの鍵。ドアの『面』に取り付けるので『面付き錠』と言います。
強度が高く、バールによるこじ開け等といった強硬手段にも対応できます。
窓の補助錠
日本の住宅の窓のほとんどにはクレセント錠がついています。名前に『錠』とついていますが、そもそもクレセント錠は気密性を高めるために設置されたもので、防犯用ではありません。
その為、クレセント錠のみの場合、防犯性はそれほど高くないことになります。
窓も玄関扉同様、補助錠をつけることで防犯機能をアップさせることが出来ます。また、補助錠が外から見えるタイプのものをつければ侵入のしにくさや防犯意識が高い家であることをアピールすることができます。
補助錠の種類
貼付けタイプ…窓枠やレール部分にテープで貼り付けて設置するタイプ。
窓枠に穴を空けないので、窓枠に跡が残りません。
圧着・差し込みタイプ…窓枠やレールに鍵をはめ込んだり差し込んだ後につまみでロックする等の方法で設置、施錠するタイプ。
窓の開閉のたびに鍵の取り付けと取り外しが必要になる為、少々手間がかかるというデメリットがありますが、貼り付けたりネジで止めたりするわけではないので、取り付けの失敗がありません。
*窓枠に傷や跡をつけないタイプの補助錠は賃貸住宅向きです
補助錠を取り付けることで、『時間がかかりそうだ』と思わせることが出来れば、侵入される可能性はずいぶん低くなるのではないでしょうか。*但し、種類によってはこじ開けられる可能性があります
しかし、鍵が増えるとそれだけ施錠解錠の手間が増えることになるので、そのバランスに注意が必要です。
最後に
近年は凶悪な犯罪が増え、防犯に対する関心が高まっています。
防犯カメラの他、窓や玄関ドアに設置し、振動で音が鳴る防犯ブザー等も人気だそうです。
残念ながら、防犯対策には『これをやっておけば絶対安心‼』という方法はありません。
いろいろな防犯対策を組み合わせて対応していくことが重要ですし、何よりもまず、防犯に対する意識を高めることが大切です。