事業用物件の賃貸だけでなく、住居用のアパート・マンションのみ貸しているオーナー様であっても、契約者に法人等の事業者がいると、貸主は年末にマイナンバーの提出を求められます。いったい何故でしょうか?
何のためにマイナンバーの提出を求めるのか?
法人等の事業者はなぜオーナー様のマイナンバーの提出を求めるのでしょうか。
それは、1月に作成し、税務署に提出する『支払調書に記載するから』です。
支払調書とは何か?
支払調書とは、企業や個人事業主などが1年間に支払った報酬・料金や支払先についての情報を税務署へ報告するための書類で、『税に関する4つの法律』で提出が義務付けられている法定調書の一種になります。
税に関する4種類の法律
・所得税法 … 個人が1年間で得た所得に対し課せられる税金について、計算方法や
徴収方法等のルールを定めた法律
・租税特別措置法… 特定の政策を達成するために、通常の税法が定める原則を変更
・軽減する税制上の優遇措置
・相続税法 … 相続税・贈与税に関する法律
・国外送金等調書法…1回につき100万円以上の海外への送金又は海外からの受取りがあった
場合に、金融機関の税務署への報告を義務付ける法律
そもそも法定調書とは何でしょうか
所得税法や法人税法上で税務署に提出が義務付けられている資料が『法定調書』です。
法定調書は全部で63種類あり、これらの書類のうち、報酬、契約金、賞金、不動産関連の支払を報告する書類を支払調書と呼びます。
主な法定調書には、所得税法で規定されている給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書等があります。
その他
・国外送金等調書
・信託に関する受益者(委託者)別調書
等の支払調書があります。

報酬を払った側が誰にどんな内容でいくら払ったのかを税務署に報告する書類が支払調書です。税務署は支払調書によって金銭の流れを把握し、適正な納税の申告がなされているかのチェックを行うことができます。

代表的な支払調書
支払調書は全部で35種類ありますが、この中で代表的なものが下記の4種類です↓

アパート・マンション経営をするオーナー様のマイナンバーが必要になるのは、ほとんどの場合、『不動産の使用料の支払調書』の作成においてでしょう。
また、所有しているアパート、マンションを売却した場合、売却価格によっては『不動産の譲受の対価の支払調書』が必要になります。
*不動産の譲受の対価の支払調書…不動産を法人等の事業者に売却し、その取引金額が100万円以上だった場合に
マイナンバーの提出が必要になります。
年末に法人から「マイナンバーを教えてください」と連絡があるのは、たいていは『不動産の使用料等の支払調書』の作成の為になります。
不動産の使用料等の支払調書とは?
では、『不動産の使用料の支払調書』とはどのようなものでしょうか。
土地や建物に対する使用料の支払いが発生した際に作成し、税務署へ提出する法定調書が『不動産の使用料の支払調書』です。同一の相手に対し、年間15万円以上の支払いがある場合に提出が必要になります。

『給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引き 第5不動産の使用料等の支払調書}参考
2016年からこの支払調書に貸主のマイナンバーの記載が義務化されました。そこで各事業者は、賃貸している部屋の家賃の支払先である不動産の貸主へ、マイナンバーの確認及び提出の依頼をしています。
マイナンバーを教えてくださいと言われたら
「必要だから、マイナンバーを教えてください」と急に言われても、やっぱり不安だったり、戸惑いを感じたりするのではないでしょうか。
マイナンバーは特定個人情報にあたり、その収集方法や取扱いに対して企業は個人情報保護委員会が示す『個人情報保護法ガイドライン』に従い、漏洩や不正利用の無いよう、慎重に管理しています。
また、日本のマイナンバー制度では、利用範囲を法令や条例等で制限し、利用の際には厳格な本人確認を義務付けています。その為マイナンバーだけでは悪用できない仕組みになっています。
マイナンバーを提出する際には、下記の点等にご注意ください・
マイナンバーを提出する際の注意点
・相手は支払調書の作成が必要か
不動産の支払調書の作成・提出が必要なのは、同じ家主に対し、年間15万円以上のオフィスや社宅等の家賃、地代、権利金、更新料等の支払のあった法人又は不動産業者である個人事業主です
**『不動産業者である個人事業主』とは…… 宅地建物取引業の免許を取得し、自身の所有する建物を貸したり、業として売買を行う法人ではない事業者を言います
・マイナンバーの提出を求めているのは、本当に取引先かどうか
事業者によってはマイナンバーの確認を外部の業者に委託している場合があります。その場合、店子である事業者と名称が違うことがあります。どの企業から委託を受けているのか、よく確認する等注意が必要です
・適正なマイナンバーの利用・管理が行われているか
利用目的を明示しているか
マイナンバーの利用は、社会保障・税・防災に関する特定事項に限られています
個人情報保護委員会が定める『特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン』に従って取扱いができているか等を確認し、適正な取り扱いができているかに注意します
個人情報保護などの理由から『やっぱり、マイナンバーを提出したくない』と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
マイナンバーの提出を断ったとしても、制度上個人の協力が得られないことは想定されており、提出に強制力はありません。その為、断ったからといってオーナー様側に何かペナルティーが科されることはありません。
とはいえ、企業が支払調書に記入するために支払先のマイナンバーを取得するのは義務なので、相手の企業は支払調書作成の際にはマイナンバーの提供を依頼しますし、断られた場合、その経緯を説明できるように記録を残す等、備えておくことになります。
国税局や内閣府では、下記のチラシなどを使ってマイナンバー提出について周知しています。
ぜひご参考になさってください。

デジタル庁 マイナンバー(社会保障・税番号制度)国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
↑青い文字をクリックすると大きくなります

- 国税庁:https://www.nta.go.jp/
- デジタル庁HP:https://www.digital.go.jp/
- 個人情報保護委員会:https://www.ppc.go.jp/index.html
- 公益社団法人 日本賃貸住宅管理協会:https://www.jpm.jp/
- 公益社団法人 全日本不動産協会:https://www.zennichi.or.jp/
- 大幸住宅㈱本店営業部HP:https://www.d-honteneigyo.jp


コメント