賃貸住宅の管理業務を適正に行う為の法律、『賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律』が2021年6月より施行されます。
施行にともない、この法律に関係する資格である『賃貸不動産経営管理士』が国家資格になることが発表されました。
『賃貸不動産経営管理士』とは
賃貸不動産経営管理士とは、一定の管理業務の実務経験があり(又は指定の講習を受けている)、かつ賃貸不動産経営管理士の試験に合格し、登録を受けた者を言います。
資格を取るためには、建物管理だけでなく、空室対策、節税等の賃貸住宅経営に関する幅広い知識が必要となります。つまり賃貸住宅の管理・運営について高い知識と経験、倫理観を持つ賃貸管理のスペシャリストです。
*2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)においても、個人が住宅宿泊管理業者として登録する為の要件となっています
2021年6月に賃貸管理業務についての法律である、『賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律』(以下賃貸住宅管理業法)が施行されます。この法律の中で、『賃貸住宅の管理業者は事務所ごとに1名以上の業務管理者を設置すること』と規定されており、業務管理者になるための条件の一つに賃貸不動産経営管理士が挙げられています。*業務管理者がいないと管理業者は管理の契約を受けることが出来ません
賃貸不動産経営管理士の役割
「業務管理者」として行う業務
- 重要事項の説明および書面の交付(賃貸住宅管理業法(以下“法”)第13条)…管理受託契約の内容を説明する書面です
- 管理受託契約書の交付(法第14条)…管理業務の内容・頻度、期間、報酬、更新や解除等について、管理受託契約の内容について取り交わす書面です
- 賃貸住宅の維持保全など管理業務の実施
- 賃貸住宅の家賃、敷金、共益費などの金銭の管理
- 帳簿の備付け(法第18条)…管理を受けた建物についてや、契約締結の日付、報酬の額、その他特記事項などが書かれている書面(帳簿)を作成し、保管します
- オーナーへの定期報告
- 管理業務をするにあたって知りえた秘密を保持する
- 入居者からの苦情の処理
- その他管理業務の安定や円滑な実施を行う為に必要であると国土交通大臣が定める事項
賃貸不動産経営管理士への期待
現在、賃貸住宅は住宅全体の3割と大きな割合を占めています。そして賃貸住宅が増えるにつれ、管理業者の数も増えています。
しかしこれまでは賃貸管理業務を中心とするルールや法律の規制が無いこともあり、敷金や保証金の返還などを筆頭にトラブルは増加傾向にありました。
また、サブリース会社とオーナー間のトラブル等が多発し、大きな社会問題となりました。
こうした流れを受け、賃貸管理業界の健全な発展を目指すため、2020年6月に賃貸住宅管理業法が成立。*一部が2020年12月18日より施行されています
法律の施行によりルールが定着し、トラブルの減少と、より顧客側に立ったサービスの向上とが期待されています。
賃貸管理業の範囲は多岐にわたり、その業務はますます複雑かつ高度になっています。
賃貸管理業者がより高い信頼性を得る為に、高度な専門知識を持つ賃貸不動産経営管理士は今後重要な地位を占めることになるのではないでしょうか。
オーナーと入居者の関係を円滑に保つ、良き相談相手としての役割が期待される賃貸不動産経営管理士。
その他にも、さまざまな契約形態や管理方法の提案、空き家をリノベーションし、有益な管理物件に変える等のアドバイスといった、課題を解決するだけでなく、新たなビジネスチャンスを引き出す役割としても期待が高まっています。
下記のサイトもご覧ください↓
- 賃貸不動産経営管理士協議会HP:https://chintaikanrishi.jp/
- 国土交通省HP「賃貸管理業法について」:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00004.html