などの事を考えておきましょう。
また、「相続の事前対策 」も参考にしてください。
遺言書における注意点とは
また、遺言の内容ですが、後述する「遺留分」「財産目録」「相続税評価額」「不動産」等の注意点に留意しながら、相続人各人への割当て・配分を決めていきましょう。
遺言書が上手く機能しない場合、法定相続をベースにした遺産分割協議になることもあり、かえって問題や軋轢を生む事にもつながります。
遺言の方法にもいくつかのパターンがありますが、一般的には自分の手で書いて作成する自筆証書遺言、公証役場で公証人と商人2名立会のもとで作成する公正証書遺言で行われるのがほとんどです。
■ 自筆証書遺言:配偶者や親が存命の場合/無料・証拠能力は低い
■ 公正証書遺言:定年後や配偶者や親がもういない場合/有料・証拠能力は高い
というように使い分けてみると良いでしょう。
そして、財産を表記する時は、その財産を特定できるような書き方をしないと、混同・誤認される可能性がありますので注意しましょう。
例えば、預金口座であれば「銀行名・支店名・口座種類・口座番号・口座名義」を、土地や建物は「地番・家屋番号」というように表記します。
自筆証書遺言の要件
遺留分
民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産のことをいいます。
もちろん、遺言の内容が最優先されて然るべきですが「愛人に全財産を相続させる」などの困った遺言から、遺族が相続すべき財産の最低割合を権利として保証した制度です。ただし、主張するかしないかは、各相続人次第ですので、主張しなければ遺言通りになります。
財産目録
各財産の種類ごとに表記が異なります。表記を誤ると、特定できない財産として問題が生じる可能性があります。また、各財産毎に性質が異なりますので、この目録を基に分割対策を練る場合には、事前におおよその相続税評価額と時価額も把握しておく必要があります。
換金性・流動性が高いグループ
- 現金
- 預金・貯金口座
- 株などの有価証券
- 保険証券(死亡保険金)
換金性・流動性が低いグループ
- 課税対象の不動産
(固定資産税・都市計画税の明細) - 課税対象外の不動産(道路等)
- ゴルフ会員権
- 美術品
相続税評価額
相続税評価額≠時価額ではありません。不動産鑑定評価、公的評価や税務評価の世界では
時価評価:110% > 公示価・基準地価:100% > 路線価:80% > 固定資産税:70%
というイメージをお持ちの方は多いと思います。机上、統計上では、このような傾向にあることは確かですが、実務的に、個別具体的には違ってきます。
公示価格等の公的価格は、実際の取引を元に算出されるため、取引された時価との間に半年から2年くらいのタイムラグが生じている感覚があります。
そのような仕組みであるがために、バブル崩壊後に「時価評価 <<< 路線価」という、現実の評価以上に相続税評価額が大きくなってしまったという悲惨な例が多くありました。
また、地域的傾向として、都心部は「時価 > 公的評価」のパターンが守られていますが、地方では「時価 < 公的評価」のパターンもしばしば見受けられます。
そして、実際に時価的にはマイナス評価の土地であっても、しっかりと固定資産税評価額は数百万円の価格がついていることがあります。
不動産
不動産は登記上、持分で分割する事ができます。しかし、現金100万円であれば、50万円:50万円、80万円:20万円、99万9,999円:1円と自在に分割できますが、不動産の分割は現実的ではありません。。
ですから、相続後に処分や管理に困るような区分所有登記や、共有登記をしてしまうと、各人の権利を分散してしまい、実際上の価値を減じてしまう可能性があるのです。
遺言書の作成方法には、それぞれメリット・デメリットがあります。遺言書を作成する際は、ご意思や目的に合ったものを選択しましょう。また、遺言書の内容は、相続手続きの進め方だけではなく、状況によっては家族や親族の将来にも影響を与えるかもしれないものですので、よく理解して作成するようにしましょう。