土地の価値というものは、あらゆる要素を勘案して算出されているので、一概に言い切ることは難しいものです。
交通/立地/接道価値/接道幅員/接道間口/用途地域/建蔽率/容積率/面積/地形/高度斜線/高度制限/日影規制/計画道路/地区計画/各種法令制限…等々を調べて、近似した最近の取引事例を参考にしたり、今の実勢取引相場、税制、金利、社会状況、想定買主等のバランスをとりながら査定していきます。
つまり
■「どんな構造の建物を建てて良いのか?」
■「建物をどんな用途で使って良いのか?」
■「どんな大きさの建物が建てられるのか?」
等を調べた後、「その用途・大きさの建物にどのくらいの需要があるのか?」を検討し、建物価格を引いた残額が「土地」の価格になるのではないでしょうか。
もちろん、土地価格の求め方については、各社それぞれ違う方法があると思います。ここでは一般的な土地価格の傾向を、私どもが長年営業しております東京の杉並・中野エリアを中心にご説明させていただきます。
一般的な戸建て用地(約20~40坪)
杉並・中野エリアで戸建をお求めになられる方は「建売」でしたら建坪約20~30坪、「土地+注文建築」でしたら建坪約25~35坪をお求めになるお客様が大半を占めます。よって、このくらいの大きさが一番流通量が多く、売りやすい大きさと言えます。
もちろん、土地の形・道路付け等によって坪単価は変動しますが、大きさだけに注目しますと実需市場(自分の住む家・土地を求めるお客様の市場)の仲介価格では一般的に坪単価が高くなる要素が強い大きさとも言うことができます。
狭小地(約20坪以下)
狭小地の定義も各地域・地方・業者によっても様々だと思いますが、杉並・中野エリアに限ると、およそ「20坪以下が狭小地」というようなイメージがあります。
小さくなれば単価が高くなるのは、他の商品・商売と同じ理屈です。
しかし、小さい建物になればなるほど建築費の坪単価も上がり、土地建物価格の総額に占める建物価格割合も上がってしまうため「土地が小さくなれば坪単価が上がる」とは一概には言えません。
広大地(約40坪以上)
広大地の定義も各地域・地方・業者によっても様々だと思いますが、杉並・中野エリアで見れば、だいたい40坪以上になってくると、土地価格総額が大きくなりすぎて、一般顧客に買い切れる金額ではなくなってくるため「広大地」と言えるでしょう。
前述のように大きくなれば単価は安くなります。さらに、宅地建物取引業者でないと土地を分けて分譲することが出来ないため「広大地」は分譲業者に買い取ってもらわざるを得ない状況になりやすく、余計に安くなってしまう傾向にあります。
なぜなら、2重に取引コストがかかった上で、企業利益を見込まなければならないからです。また、あまりにも広大な土地を分譲する場合には、道路等を整備する必要もあり、宅地以外の利用という無駄が生じてしまう事もあります。
ただし、ブランド力のある地域(特殊な地区計画等により、町全体の美観・景観が保たれている地域など)は、広大地になる基準が上方修正され、60坪・100坪・200坪等、地域によってバラバラです。
旗状敷地・敷地延長
道路に接している敷地部分が狭く、通路部分になっている敷地を通り、建物部分が建っている敷地に辿りつくという形の敷地を「旗状敷地」や「敷地延長」と称しています。このような土地は、一般に通風や採光が良くない場合が多く、建築できない通路部分があり
■「足場が組みにくい」
■「クレーン等の重機が入りにい」
■「埋設管距離も長くなる(通路部分)」
という傾向があるため、建築費用増加などの理由により、接道間口の広い整形地に比べると坪単価は安くなります。
不整形地
通常、土地と建物をイメージする場合、四角形を想定すると思いますが、世の中には様々な土地の形状が有り、三角形や五角形という表現では言い表せないような不整形な土地もあります。
大きさとの相関もありますが、不整形の度合いが強ければ強いほど、四角い建物や四角い駐車場も作りづらくなり、坪単価は安くなります。
接道有無・接道間口
敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の間口をもって接していなければ、原則的に建築確認が通りません。
例外として、様々な救済措置が用意されていますが、常に建築が許可されるとは限らず、建築許可が通りにくくなる度合、建物用途等の制限が強くなる度合によって坪単価が安くなります。
建蔽率
建物を建てても良い敷地の面積割合(%)を「建蔽率」といいます。
建蔽率が大きければ大きいほど、土地単位面積当たりの建物利用率が上がることになりますので、当然、土地坪単価も上がっていきます。
しかし、建蔽率が40%と80%の別の土地を比べてみた時、単純に坪単価が倍になっているかというとそうではありません。これも、市場原理「取引総額が大きくなれば、取引単価が安くなる」が働き、建蔽率80%の土地の坪単価は、建蔽率40%の土地の坪単価の倍額に届きません。
容積率
建物の各階面積(容積算入床面積)を足し合わせて、敷地面積(土地の有効宅地面積)で割りこみ、決められた「容積率」より低くなければなりません。
容積率には、行政が指定する指定容積率と、前面道路幅に起因する基準容積率があり、小さいほうの容積率が適用されます。
では、指定容積率200%、基準容積率160%の土地は、160%まるまる使えるかというと、容積率だけでなく、道路斜線、高度斜線、安全条例等の「その他法令制限」もクリアしなければ、建物が建てれないため、杉並・中野エリアの住宅地の狭小地では、容積率を使いきれない事もしばしばあります。そのため、指定容積率200%の土地の坪単価は、指定容積率100%の土地の坪単価の倍額に届きません。