地域のはなし~妙法寺~

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全国に妙法寺という名前のお寺はたくさんあるそうです。宗派は天台宗、曹洞宗等様々ですが、中でも日蓮宗のお寺にこの名前が多いとか。
*『妙法』という言葉は『(仏教のすぐれた教理を説いてある)法華経』を指すそうです。法華経は仏教で最も重要な経典のうちの一つとされるお経で、日蓮宗では特に大切にされているお経です。お寺にこの名前が多いのがわかりますね

杉並区にも妙法寺があります。丸ノ内線 新高円寺駅と東高円寺駅のどちらの駅からも、歩いて13~15分程と少々歩きますが、『厄除け祖師』『おそっさま』の名前で親しまれる、江戸時代から現代に至るまで厄除けの御利益で有名なお寺です。

妙法寺はどんなお寺?

妙法寺の創建は江戸初期の1615~1623年頃。
それまで真言宗の尼寺だったところを、日逕上人によって日蓮宗に改宗し目黒碑文谷にある法華寺(現円融寺)の末寺になりました。その後1699年に身延山久遠寺の末寺となっています。
その際に法華寺から日蓮大聖人霊像を譲り受け、以後厄除け祖師として信仰を集めています。

末寺とは?

複数の寺院間において、他の寺院を統括する寺院のことを本寺(ほんじ)・本山、統括される側の寺院を末寺(まつじ)と言います。

妙法寺

名称 :日蓮宗本山 厄除け祖師 堀之内 妙法寺
号  :日圓山
所在地:東京都杉並区堀之内3-48-8
文化財(国):鉄門
   (都):仁王門(山門)、御成の間、祖師堂
毎月3日、13日、23日と3のつく日は縁日が開かれます。
*周辺の道路は車の乗り入れが出来なくなります

また毎月23日には、「二十三夜堂」が開かれ、二十三夜様へのお参りが出来ます
*毎年10月23日には、二十三夜尊大祭が行われています
同じく毎月23日に、境内にある書院の2階で寄席が開かれます。*定員40名、予約制です

      

江戸時代、杉並の辺りは野鳥が多く、将軍家等が鷹狩を行う場でした。また江戸近郊の観光地でもありました。
妙法寺は浅草寺に並ぶ人気があり、川柳にうたわれたり、浮世絵で描かれたり、落語や洒落本の舞台にもなったようです。
*古典落語『堀之内』はうっかり者の男が、うっかりを直すために妙法寺のお祖師様に願掛けに行くお話しです

2代歌川 広重『江戸名勝図会 堀之内妙法寺』杉並郷土博物館 歴史資料

境内

仁王門(山門)

1787年築。
東京都指定有形文化財

境内の南正面に建つ仁王門。
江戸時代中期の1787年に建てられた2階建ての門です。
門の左右には徳川家綱公が寄進したといわれる金剛力士像が安置されています。

祖師堂

1812年築
東京都指定有形文化財

仁王門をくぐるとすぐ正面にある立派な建物が祖師堂。この中に「おそっさま」である厄除け祖師像が安置されています。
祖師堂の正面、及び堂内の欄間には『波の伊八』と呼ばれ、主に房総で活躍した彫工、武志伊八信由の作品があります

祖師堂正面にある龍の彫刻『五態の龍』 堂内の『迦陵頻伽』、『松に孔雀』等も伊八作品です

*因みに…これは伊八作品ではないようですが、祖師堂の左右と後方の屋根の下には、鬼がいます。赤鬼です(右写真参照→)
鬼たちは睨みを利かせて祖師堂を護っています。その為、妙法寺の豆まきでは『鬼はそと』とは言わないそうです

鉄門

1878年製作
国指定重要文化財

祖師堂の右手側にある、ジョサイア・コンドル氏設計の鋳鉄製柱門。ほとんどが木造建築の妙法寺の建物群の中で、鮮やかな色彩がひときわ目を引く門です。
*工部省が設計施工した確実な遺品として価値が高いと言われています文化遺産オンライン
鉄門の奥には鷹狩に来た徳川将軍の休憩所、『御成の間』があります。←御成の間も東京都の指定文化財です

ジョサイア・コンドル

イギリス、ロンドン出身の建築家。鹿鳴館の設計で有名です。
25歳の時に工部大学校(現:東京大学工学部)の建築学の教授として招かれ、来日。以降何人もの建築家を育成し、その傍ら、明治政府関連の建築物の設計を手掛け『日本の西洋建築の父』と呼ばれています。

主な作品

  • 三菱一号館・二号館…既に取り壊されていますが、一号館は2009年復元、現在は美術館になっています(三菱一号館美術館)
  • 岩崎久弥茅町本邸…現:旧岩崎邸庭園
  • 三井家倶楽部…現:綱町三井倶楽部  等
こちらが『暁英』さん、つまりコンドルさんの作品。絵だけでなく、華道、落語等様々な日本文化に詳しい方だったそうです

*明治時代に建てられた洋館の数々を設計しましたが、絵師としての顔も持っていました。人気画家であった河鍋暁斎氏に師事し、『暁英』の雅号で作品を残しています

二十三夜堂

月を神格化した神様『二十三夜尊大月天王』を祀るお堂。*大月天王=月天子。勢至菩薩の化身とされます

月待ち

室町時代に始まり、江戸時代から昭和初期にかけて全国で行われていた民間信仰に『月待行事』があります。
月待行事は二十三夜を始め、十五夜、十六夜等特定の月齢の夜に「講中」と呼ばれる仲間が集まって飲食をしたり、月に祈りを捧げて悪霊を払うというもの。

本堂の裏手にあるこのお堂は、毎月23日にのみ開かれます。またこの日限定の御朱印があります。

以前参拝した時に頂いた御朱印。ウサギの絵の入ったかわいらしい御朱印です

二十三夜堂の狛犬 背中からも子犬が覗いています
『五態の龍』の一部分
仁王門の右手にもう一つある門 こちらには狛犬がいます
御朱印

現在も全国から参拝者の訪れる妙法寺。祖師堂に安置されている『おそっさま』のパワーは絶大で、境内に足を踏み入れるだけで厄除けになるともいわれています。厄除けだけでなく、財運、良縁成就、病気治癒等、数々の御利益のある杉並区屈指のパワースポットのひとつです。

その他境内では四季折々の花が見られ、毎月行われる寄席では若手の落語家の落語を楽しむことが出来ます(予約制)。広々して、緑豊かな境内は散策にぴったりの素敵なお寺です。
ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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